「御社の強みはなんですか?」という地獄の質問

美容室のブランディングはどのように作ればいいですか?
という質問をよくいただきます。近年、企業のブランディング構築はとても難しい話です。
というのも、社会が成熟して目新しい”もの”、”こと”を価値として付加することが難しくなっています。
にもかかわらず、専門家は「ほかにはないものってなんですか?」「御社の強みってなんですか?」なんて聞いてきます。

それがわかったら、やっとるわ!

心の中でそうつぶやきながら、考えるフリをするしかありません。
しかし浮かんできません。そんな簡単に浮かんできたら、すでに成功しています。
そこでゼロからイチを生み出すようなブランディングを考えるのは諦めました。
もっと足元を深掘りして、リアルなブランディングをしていくべきなのではないか、と考えるようになりました。

自分の足元にこそ、成功の泉が眠っているのに

足元を掘り下げるとなると、今、来店していただいているお客さまを見つめ直すことが重要です。
今の顧客のニーズはなにか?そこには見えないニーズがあるのでは?
このように深掘りしていった結果、気づいたことがあります。

マーケティング王道理論に
「ドリルの穴理論」
というものがあります。
”お客さんは、ドリルを買いに来たのではない、穴を買いに来たのだ”
つまり、どんな穴が掘れるかがニーズであって、ドリルそのものを買いに来たのではない、ということです。本当に求めているのは、その目の前の”モノ”ではなく、その先にある便益である、ということです。

美容室の場合を考えてみます。
思い出してみてください。昨日、最後に来店されたお客さまはあなたのお店で何にお金を払いましたか?
カラー剤やスタイリング剤、シャンプーされること、カットされることに払ったわけではありません。
その先にある”何か”にお金を払ったはずです。

あるお客さまは美容師さんとの”おしゃべりしてストレス発散できること”にお金を払ったかもしれません。
”最新のデザインでモテること”に払ったかもしれません。”SNSで有名な美容師さんに会うこと”に払ったかもしれません。

来店していただいているお客さまが、自店の”何に?”お金を払っているか、深く考えてみてください。
もっとも多いなぁ、と思えることがあれば、それが(今、持っている)ブランディングなのではないでしょうか?
「あ、あれか!」というものがあれば、その”モノ”について強化していくことがブランディングの確立になると思います。

逆に、もし見つからないのであれば、見つけてみましょう。どうやって見つければいいのか?
私はこんな方法をオススメしています。
「どんな口コミがされたいですか?」

今、いらっしゃっているお客さまが、自店のことをお友だちに紹介してくれるとしましょう。
そのときに「どんな表現で紹介されたいか?」をブランディングにしてみてはいかがでしょうか?

「早くて、安くて、上手いの」
でも、もちろんいいと思います。
「すごくリラックスできるの」「異性にモテるの」「子どもが喜ぶの」「テンションがあがるの」
どんな言葉でも良いと思います。どんな言葉で紹介されたいでしょうか。
その言葉がヒントになります。リラックスできる、であれば、リラックスにとことんこだわればいい。モテるのであれば、モテにとことんこだわればいい。

お客さんの声に戻れないブランドは消えていく

経営者は定期的に消費者の声に立ち戻ることが求められます。
世界最大の消費財メーカーであるP&Gは定期的に消費者宅を訪問する「ホームビジット」を実施しているそうです。何を使っていて、何に困っていて、どんなニーズがあって、など消費者の声にいつも耳を傾けていることが、P&Gがマーケティング企業として確固たる地位を確立している要因だと思います。

打ち出し、ブランディングに迷っていたら、ぜひ、やってみてください。

・あなたのお店でお客さまが本当にお金を払ったモノ・コトを深掘りしてみてください。
・お客さまにどんな言葉で紹介されたいか考えてみてください。
・上記どちらかでモノ・コト・言葉などが決まったら、それをあなたのお店の幹として深掘りしてください。

きっと、その深掘りしたものを徹底していけば、強みになるはずです。そして少なくとも今の顧客は喜ぶはずです。顧客満足度は高まるはずです。現在の経営によりよい影響が起こるはずです。

デジタルに関する知識は、サロン業務のワークステーション「美歴」も参考にしてみてください。

デジタル化を始める前に、ぜひ、読んでみてください。「美容室デジタル化で”してはいけないこと”とその3つの対策とは?」