美容師さんの多くが選択する発信SNSはInstagramです。
そして多くの美容師さんがヘアスタイルの投稿をしています。一見すると、どの美容師さんも同じような投稿になりがちです。しかし、フォロワーという観点から見ると、その差は大きく違ってきます。
なぜ、同じような投稿をしているのに、フォロワーが多い美容師と少ない美容師に別れるのでしょうか。
なんなら、同じモデルさんを使っているケースさえあります。それでも、フォロワーには大きな違いが出てきます。投稿内容は酷似しているのに、影響力が大きく違う、この問題を考えてみたいと思います。
その違いは、”推せるか、推せないか”で決まる
個人的結論から言いますと、「推せるか、推せないか」です。
日々、たくさんの美容師さんのSNSを見ています。その人たちの違いを見ていると、推せるか、推せないか、でフォロワーが変わってくるという結論に達しました。
では、「推せるか、推せないか」の違いを決定づける要素はなんでしょうか?
この違いについても考察してみます。
推し美容師になるためには、以下の要素を満たしているか、もしくはいずれかの要素が強めか、というのがキーポイントになりそうです。
まず投稿者設定に関してです。
SNSは誰が(どんな人が)発信しているか、がとても大きな要素になってきます。有名であろうがなかろうが、同じことです。マス的に有名人でもフォロワーが伸びない人もいます。逆に、有名でなくても、Z世代は知らないような世代の芸能人でも、がっつりフォロワーを獲得する人だっています。同様に、業界内では有名な人でも、SNSではフォロワーを獲得できない人もいます。フォローするとは、有名であるかどうかではないことは明白です。では、どんな投稿者にフォロワーがつくのでしょうか。
投稿者のキャラクターにフォロワーがついてくる
【第一階層/投稿者】
- 上手(変身)
- 信用(人柄)
- オシャレ(憧れ)
- 頼れる(悩み解決)
- 可愛い(ファン)
- 等身大(共感)
この第一階層は、美容師さん寄りにセレクトしてみました。
【上手】とは技術のことです。コロナ禍以前は、可愛いスタイルをあげていることが重要でした。しかし、頻繁に外出したくない、失敗したくないというマインドが高まったコロナ禍以降は、いかに上手であるか、技術があるか、がとても重要な要素になりました。ロングをばっさりショートにしたときの変身動画はTikTokでも人気です。技術職である美容師を選ぶ基本である技術力選定が改めて高まっています。
【信用】とは人柄のことです。美容室に行くと緊張するという人はたくさんいます。美容師さんに考えていることを伝えられないというお客さんは大多数です。私も友人に美容師さんを紹介することがよくありますが、みんな事前に私に”なりたいスタイル”を伝えてきます。そしてその美容師さんの特徴とマッチするか、確認してきます。さらにいえば、事前に伝えておいて欲しいと。それだけ美容師さんに伝えることは一般人には難しいのです。そんな状況から、SNSでその美容師さんの人柄を知りたがる傾向にあります。カウンセリング動画の回転数が大きいのはそのためでしょう。ちゃんと話を聞いてくれるのか、怖くないか、などの雰囲気を知りたがっています。
【オシャレ】とは憧れのことです。メンズ美容師の場合は難しいかもしれませんが、女性美容師さんの場合には大きな要素になります。フィードの投稿で自分のことを投稿するのはバランスの問題もありますが、ストーリーズなどで自分の投稿をすることで、見ている人からオシャレ美容師と思われることは重要です。ただ、これも”過ぎる”とハードルがあがってしまいます。身近にいる相談できるオシャレさん、くらいのレベル感が良いかと思います。オシャレ発信をするのであれば、全体的にかなりのハイレベルが求められます。
【頼れる】とは悩み解決ができるかどうか、です。技術にも繋がりますが、美容師さんに悩みを解決してもらいたいお客さんはたくさんいます。癖や顔型、白髪、薄毛などなど髪の毛に関わる悩みについて解決してくれるという認識が高まればフォローしておこうというマインドが高まります。Instagramで投稿しているくらいなんだから自信があるんだろう!と思ってもらえます。(もちろんある程度、自信がないと危険です)
【可愛い】とは多くの場合、女性美容師さんに当てはまります。顔が可愛い、ファッションが可愛い、という見た目の要素が大きいと思います。自分が可愛いと思う美容師さんなら、安心して任せることができます。お客さまをファン化させることができていけば、フォロワーは自然と増えていきます。ただこの場合、ある程度のプライベートを切り売りすることも求められてしまいます。生活との一体感が出てくるので、それが嫌であれば、この要素は捨てた方がいいかもしれません。
【等身大】とは、親近感、もしくは共感です。SNSとは価値観の共有に他なりません。投稿している内容が自分と価値観が近ければ、フォロー対象になりえます。憧れとは少し違います。スマホ画面の向こう側にいる人が自分と同じものが好き、同じコミュニティにいる(同郷とか、猫好きとか、ママであるとか)、同世代である、など等身大の投稿がされていると共感性が高まります。これもフィードというよりもストーリーズのほうが親和性があるかもしれません。
以上の6つがフォロワーの多い人たちに共通する投稿者の属性です。すべてに当てはまるというよりも、より多くのことに当てはまっている人が多くのフォロワーを獲得している傾向にあります。
ここで気づいた人も多いと思います。はい、すごいことはなにひとつありません。美容師さんにとって当たり前のことがほとんどです。つまり、美容師さんとして当然のことを伸ばしていけば、投稿者としての素質は高まっていくということです。
投稿は一瞬の判断で好き、嫌いが決まってくる
【第二階層/投稿のフォーマット】
第二階層は、投稿の方法について考察してみます。投稿者属性が決まってきたら、どんなフォーマットで投稿をしたらフォロワー獲得につながるのでしょうか。
- 統一感(迷いたくない)
- カタログ(答えが知りたい)
- 投稿数(失敗したくない)
- 今、何してる?(もっと知りたい)
【統一感】とは、投稿しているヘアスタイルの統一感です。長さ、カラー、テイストがバラバラな投稿だとお客さんは迷います。よくある例えですが、「中華料理店になるな、餃子専門店になれ」と同じ論理です。Instagramでじっくりと見比べてくれる可能性はとても低いです。ジャンルの違うヘアスタイルで迷いたくないのです。ですから、レングスやテイストを統一することで、迷いが減ります。この迷いが減るというのは、その美容師さんの投稿の中から選ぶ方向に流れてくれます。
ショートとロング、ミディアムがバラバラに並んでいるとしましょう。ショートとミディアで迷ったら、両方を選ばない可能性が出てきます。しかし、1枚目のショートと2枚目のショートであれば、ショートは確実に選びます。その段階で、この美容師さんに依頼することはほぼ決まります。
【カタログ】とは、お客さんが美容師さんのInstagramを見るとき、それはカタログとしての役割を果たしているという意味です。できるだけ関係のない投稿の割合は減らしておきたいものです。答えが知りたい、というのは、Z世代は特に、どんな自分になるのか、を先に知りたがっているという意味です。切り抜き動画やタイパと言われる動きは、時間のない(情報が多すぎて)Z世代の特有の思考です。Instagramアカウントをヘアカタログとして答えが並んでいるものとすることで、フォロワーのタイパが高まります。
【投稿数】はいかに多くの投稿ができているか、ということです。先にもあげたように、今、誰もが失敗したくないマインドになっています。そこでより多くの事例を知っておきたいのです。多くの事例があるということは失敗していない、という証左にもなります。定期的に多くの統一感のある投稿がなされていると、それだけニーズがあることであり、信用にも繋がります。(もちろん多くの人のフィードに現れる可能性も高まります)
【今、何している?】とはストーリーズの投稿のことです。フィード投稿がヘアカタログ中心になると、どうしても人となりが見えなくなります。親近感を感じてもらうこと、そして同じ時間を過ごしている人間であることを感じてもらために、今、何をしているか、をストーリーズに投稿しています。定期的にストーリーズ投稿することで、直接、多くのフォロワーにアプローチできます。
以上の4つが投稿に関するフォーマット考察です。
はい、また気づきましたね、そうです、当たり前のことなんです。私の知るフォロワーが多い美容師さんたちは、これらの当然のことを高いレベルでルーティンにできている人ということができます。
もはやSNSがインフラ化した今、突飛な攻略方法はないように思います。しかし、フォロワーが多い人の方法を無理に真似するよりも、バズを狙って変わったことをするよりも、すべきことを継続することがいかに大事なのか。教えられる思いがしています。
私の個人的考察では、これらの6×4の法則を遂行している美容師さんが”推し”になっているものと考えられます。
フォロワーが多いから、よりよい結果になるかといえばそうでもない
今回はフォロワーの多い、少ないについて考察しましたが、このことだけが結果(集客)につながるかといえば、これだけではありません。フォロワーが少なくても、ピンポイントで狙いたいお客さまだけを集客できている人もいます。恐らくフォロワーが増えていく過程で、そのことには気づくと思います。
そうなってくれば、投稿が、SNSをすることが楽しくなってくるのではないでしょうか。
ぜひ、がんばって継続してみてください。
デジタルに関する知識は、サロン業務のワークステーション「美歴」も参考にしてみてください。
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