デジタル化は美容室によって異なるので、すべてパクればいいわけじゃない。

美容室がデジタル化をしようと思ったとき、行動する前提として”してはいけないこと”がいくつかあると思っています。
そのなかで、まず気をつけて欲しいのは、「感覚で始めること」です。

デジタル化の意味から読み解いてみると……

突然ですが、、、みなさんは「デジタル」と「アナログ」の違いを考えたことがありますか?
デジタル人間を今どきの人、アナログ人間を古い人、なんて比喩表現することがありますが、これはちょっと意味が違います。
デジタル時計とアナログ時計を思い浮かべてみてください。デジタル時計を見ながら時間を確認すると「12時14分43秒」と明確な1点を指すことができます。逆にアナログ時計だと12時15分くらいという表現になります。これはどういうことを意味しているのでしょうか?

この時計の解釈としては、デジタルとは点であり、アナログは点が繋がった線だということです。
何時何分何秒という点(デジタル)が連続するのが線(アナログ)です。ですから、新しい、古いって意味ではありません。ま、今という点を生きる、過去からの線を生きる、という意味では、今と古いって対照的な表現は正しいのかもしれません。

何が言いたいかと言いますと、デジタル化とは点を現すこと、つまり、明確化すること、ということです。
デジタル化とは見える化、と言い換えることもできます。何が起きているか、はっきりさせることがデジタル化の根本的な意義だと思ってみてください。
一方でアナログは継続的な状況を把握することであります。経験や実績などはアナログ的だと言えるかもしれません。

さて、最初の「してはいけないこと=感覚で始めること」に戻ります。
「デジタル化=明確化」です。ですので、デジタル化を進めるにあたって感覚で始めてしまうことはとても相性が悪いのです。
では具体的に何をするべきなのか。
まず美容室のデジタル化を進めるにあたってすべきは、全体像を妄想することです。全体像の妄想とは、

1.ゴール設定をする(行き着く先を妄想する)

行き着くデジタルの世界を妄想する

デジタル化をした先に、どんな美容室にしたいのか、そのゴールの世界を妄想することをお勧めします。
「デジタル化して何ができるのかわからないよ」
と思う方もいらっしゃると思います。確かにイメージがわかなければ、何ができるか想像できません。
しかし、今、手間になっていること、時間がかかっていること、簡略化したいことはたくさんありませんか?
その手間になっていることをデジタル化でなくす(もしくは削減する)ってところから始めていいと思います。きっと多くのことはデジタル化で解消できるはずです。そこから妄想を膨らませていいでしょう。

またゴール設定のひとつのヒントとして、美容室もしくは美容師のコンセプトを明確にしておく必要性があると思います。コンセプトについては、以前の記事を参考にしてください。
「コンセプトは意外と身近なところから見つかる」

妄想のデジタル世界を数値化する

そして、それらの妄想を実現すると、具体的な数字にどんな変化が表れるか、検討してみてください。時間が短縮されることで何ができるのか、何をしないようにできるのか。売上はどのように変わるのか、生産性はどう変化するのか、時間価値はどう高まるのか。
いつも経営の基準にしている数値にどんな変化が表れそうか、計算してみてください。

2.妄想の世界には何が必要か検索してみる

ググればきっと誰かがヒントを書いてくれている

妄想の世界を実現するために、どんなツールが必要なのか、”文章で”検索をかけてみてください。きっと誰かのブログやHPにたどり着きます。それらのツールを列挙してみてください。「この目的を達するためのツール」リストができるはずです。すべての目的達成のためのツールが出そろえば、それらをつなぎ合わせることができるのか、想像してみてください。具体的な繋ぎ合わせや方法に疑問があれば、問い合わせてみるのもいいでしょう。IT企業の人は、クライアントが何を目的にしているか明確であれば、回答をだすことができます。恐らく、自社の製品じゃなくても、アイデアをくれることもあるでしょう。(目的が明確じゃなく質問するとお互いにゴールが共有されていないので、思わぬ方向に向かってしまうことがあります)

3.ツールと数字を繋ぎ合わせた計画表を作成する

今、何をするべきか、が具体的に見えてくる

ゴール、数値化、ツールが見えてきました。このツールを導入すると、このくらい時間とコストがかかる。そしてなりたい自分像の数値に達するためには、このくらいの時間がかかる、その結果、ゴールに辿り着くには、このくらいの時間とコストがかかる、というのがおぼろげながら見えてくるはずです。大事なのは、この全体像をつかむことです。なりたいデジタル化の全体像が見えてくると、よりよいツール、よりよい人材、よりよい提携会社、などが探しやすくなります。そして誰かに相談しやすくなります。計画表ができれば、あとは方向の修正を行ったり、スタッフの配置を考えたり、若者から意見を求めたり、すべきことが見えてきます。行動が継続できるようになります。このプロセスがとても大事です。

デジタルは早く始めた方が成功へ早く近づける

この3つのことを浮かびすことができれば、あとは粛々と実行するのみ、です。
重要なのは、この計画を作成することと実行・修正をいかにスピード感を持ってできるか、ということです。考えるのは大事ですが、考えすぎて着手できないことはもっとも危険は判断です。
デジタルは早く着手したほうが結果も早くわかります。結果が早くわかるというのは、良い・悪いの判断が早くできるようになるということです。
早く結果がわかれば、方向や方法の修正にも早く着手できます。このデータや経験が蓄積できるのも、デジタルのとても大きな利点です。

また、妄想する際のヒントにしてもらいたいのは、どこまでいっても美容室は髪の毛を綺麗にすることが仕事である、という大前提です。今、みなさんが仕事として行っていることをデジタルに置き換えるところから始めてみてください。

美容室のDXを推進している「美歴」のサイトもデジタル化ツールのひとつとして参考にしていただけますと幸いです。